635084 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

神戸辺り、たゆたう時間

神戸辺り、たゆたう時間

得失点差と勝ち点のLoveLoveな関係

小中先生は
Jリーグは失点の何倍得点すれば優勝できる/降格しないリーグなのでしょうか?
で、『直感的には「1失点する間に何点取れるか?」がすべての球技での本質であろう,という立場です』と仰っている。

でも自分的には「サッカーみたいにロースコアが普通の球技はやっぱり得失点差じゃない?」という考えをとる。
だってスコアレスドローを延々と繰り返す、たまにセットプレーで1点とって逃げ切る、というチーム戦略もあり得るもんね。

で、素人の考え。
得失点差と勝ち点には強い相関があるだろう。それを数値化してみよう。

Vゴールが廃止された2003年から2020年までのJ1全チームについて、
・1試合当たりの勝ち点
・1試合当たりの得失点差
を調べてみた。データ数は320個である。これをExcel君に調べさせてみた。

そうすると相関係数=0.943 と極めて強い正の相関があることがわかった。ここまでは当たり前。
そして、勝ち点と得失点差の近似式もExcel君に計算させた。
 y=0.6714x+1.3796
という数式が出てきた。yが勝ち点、xが得失点差である。

元々、
・ある試合で得失点差がプラスのチームは、勝ち点3を得る。マイナスのチームは勝ち点を得られない。
・得失点差がゼロの場合、両チームが勝ち点1を得る。
というのが今のJ1の勝ち点制度である。

1-0の時の勝ち点は3。でも10-0でも勝ち点は3
0-0の時の勝ち点は1

1-0と0-1の2試合平均の得失点差はゼロ。勝ち点は1.5点/試合
これから考えたら、上記の数式のy切片(x=0の時のy)は1と1.5の間ぐらい、というのは納得できる数字である。

さて、18年間の320データで
 相関係数 =0.943
 平均勝ち点=平均得失点差×0.6714+1.3796
だったのだが、実は2016年から2020年までという比較的最近の場合(データ数90個)も計算してみた。
すると、
 相関係数 =0.942
 平均勝ち点=平均得失点差×0.6993+1.385
と、Excel君が答えた。(数値の責任を、あくまでExcel君に押し付ける姿勢を貫く卑怯者である)

つまり、過去18年間のデータと過去5年間のデータの傾向はほぼ同じと考えられる。
本当は、この類似性(母集団の等質性)を統計的に検討すればいいのだろうが、そんな知識や能力はない。なので直感的に
「うん、ほとんどいっしょ」
で済ませることにする。

これが本記事の結論である。

さて、だがこれだけでは面白くない。
この数式を更に弄ってみる。

まずこの得失点差と勝ち点の関係の近似式
 推定平均勝ち点=平均得失点差×0.6714+1.3796
を仮に「J1勝ち点推定式」と呼ぼう。(マルキーニョス指数のような気の利いた命名は自分にはできない)

1.特異点を探せ
J1勝ち点推定式
 推定平均勝ち点=平均得失点差×0.6714+1.3796
を過去18年間の各チームの成績に当てはめてみよう。

そうすると、この数式から得られる勝ち点の予測値を大きく外れるチームが存在する。それを「特異点」として論じてみよう。

今回は、過去18年間ののべ320チームの1試合当たり平均得失点から、1試合当たり平均勝ち点を上記の数式で求め、実際に獲得した平均勝ち点と比較して、その差の大きさ(偏差)を計算してみた。

偏差の計算式は
 (推定勝ち点-実際の勝ち点)÷推定勝ち点
である。これを320データについて計算してみた。
標準偏差は0.157となった。グラフにしてみても、かなり良い感じに分布している。
当然である。もともそ、正の相関の強い母集合そのものを対象にした計算なのだから。

だが、やはり特異点は存在する。標準偏差の2倍を超えた差異がある5つのケースを「特異点」とした。
A-① 偏差=-2.04 2012年 札幌
A-② 偏差=-0.76 2014年 徳島
A-③ 偏差=-0.33 2003年 神戸

B-① 偏差=+0.38 2013年 大分
B-② 偏差=+0.36 2013年 磐田

まずA-①のケースを見てみよう。
この極端なマイナスの偏差。これを「気持ち切れちゃったシーズン」となずける。

当然のことだが、1点差で負けようが、5点さで負けようが、勝ち点はゼロである。
サッカーに限らず、気持ち切れちゃうと大量失点するのはよくあることだ。
2012年の札幌のケースを具体的に観てみると、4点差以上(サッカーの試合ではあまり多くないと思われる)の試合が6試合(全部敗戦)ある。これじゃ、得失点バランスが崩れるのは自明である。

A-②のケースも4点差以上のの敗戦が6試合。
A-③のケースは、4点差以上の敗戦は2試合だけだけど、3点差敗戦も5試合。なんといっても伝説の8失点試合も含まれる。ちなみに筆者は8失点試合を現地で観戦している。

一方プラス側の特異点はこれといった特徴が掴めなかった。
ここが素人分析の悲しさである(笑)

逆に言えば、この推定式、かなり使えるんじゃないか?

2.順位予測をしてみよう
先日、某巨大掲示板の「J1降格予想」スレッドで今後の対戦相手の強度を「平均得点」で計算していた。
それを「平均得失点」で見る方が妥当であろう、と考えた。
それを適用して、今シーズンの残りを計算してみた。

計算方法はこうだ。
①各チームの残り対戦相手を調べる
②[自チームの平均得失点差]から[対戦相手の平均得失点差]を減算し、その試合の得失点差予測値とする。
③得失点差予測値を、J1勝ち点推定式に当てはめて、勝ち点予測値とする。
④残試合の勝ち点予測値の合計と、現有勝ち点の合計が最終勝ち点予測値となる。
⑤全チームについてこれを計算すると、順位予測ができる。
もちろん、直近の補強により調子を上げた・下げたチームもあるだろうが、それをフォローするアイデアはまだ出ていない。

2021年J1 8月28日の試合開始前の状態での順位予想は!

と公開したかったが、残留争いの渦中のチームを応援している方々には流石に失礼であろう、ということで結果は割愛する。
むしろ、自分の中で今の結果を最終結果と比較して考察するのをシーズン終了後の楽しみとしておきたい。

3.残留のための得失点差
J世界では
 残留のための勝ち点は、試合数×1.1
とよく言われる。
では、これに我が「J1勝ち点推定式」を当てはめてみるとどうなるか?

今年は例外として、例年はJ1は34試合である。
残留のための目標勝ち点は38である。
これは
 ・8勝14分12敗
 ・7勝17分14敗
 ・6勝20分12敗
 ・5勝23分10敗
あたりの星勘定になる。
一方、J1勝ち点推定式によると、得失点差-14までは残留できる、となる。

過去15年間(2005年~2019年)を観てみよう(2020年は降格がなかったので除外)
15年間で得失点差が-14より良かったチームで16以下となったのは6チーム
(2008年東京V・2008年磐田・2010年FC東京・2012年G大坂・2012年神戸・2014年C大坂)

2012年のガンバと神戸は降格が意外といわれていたので、それを除けばほぼ実情を表しているといえるだろう。
(2012年のガンバなんて得失点差プラスで降格している)

となると、残留だけを目指すのであれば、1試合平均得失点差-0.4までである。
結局、守備中心のチーム作りになるのであろうな。


© Rakuten Group, Inc.